宿開業への道⑧ここまでやったら費用が見える【消防法編】
宿の準備してます。今回は消防設備の設置のお話です。
今回最小限の準備で開業を目指していますが、どうしても費用を削れないのが消防法関連の設備費用。
民泊の法律が条件緩和される動きですが、消防法は別途必要になるともいわれているので、見落とせないところです。
消防法関連の手順
1.各所への事前協議(宿開業への道⑤⑥⑦)
2.消防との協議①(建物の条件確認)
3.消防との協議②(設置する設備の指導)
4.消防設備等着工届 ※設備士記載
5.設備等設置 ※消防設備設置に、設備士の資格必要
6.消防設備等設置届 ※設備士記載
7.立会い検査
8.防火対象物使用開始届
今回のポイントは、
・消防設備は建物によって内容が大きく異なり、比較的高額
・その金額は、「3.消防との協議②(設置する設備の指導)」まで進めて初めて業者に見積もりが取れる
というところです。
以下は1〜3の内容を説明していますが、記録用も含め記載したので、興味がある方か時間のある方お読みください。
1.各所への事前協議
各所への協議の結果、建物の内装工事などを伴う大きな工事は必要なく進められることになりました。
ポイントは床面積100㎡以内です。
2.消防との協議①(建物の条件確認)
「100㎡以内なので建物の用途変更なしでOK」→市の建築指導課にOKをもらった上で、消防の担当の方にも建築指導課の対応していただいた方の名前を伝えます。(消防からも建築指導課へ確認が入ります)
その他提出した書類
・平面図1(宿として使用する範囲が分かるよう明記されたもの)
・面積算定表(対象部分が100㎡以内であることが確認できる計算表)
・平面図2(建築基準法と同じ柱心の寸法で、建物全体と対象部分の大きさが確認できる様記載されたもの:確認申請図などに書き込む形でOK)
・普通階・無窓階算定書(各階に火災時避難できる開口部があるかを明記する書類、サッシの種類、ガラスの種類、開口部の大きさなどを記載)
・平面図3(普通階・無窓階算定書のサッシ位置や大きさを明記)
・建物配置図(確認申請図などでOK)
・建物立面図(確認申請図などでOK)
確認申請図があれば、+αで太字の書類を作成すればOKです。
消防の担当者には、建築確認申請を出したことがない人には難しいと言われましたが、建築基準法の用途変更がないので、調べながら素人が作成することも可能です。
これらの書類を提出し、そこから消防署の方で設置する設備を検討し、再度協議を行うことになりました。
3.消防との協議②(設置する設備の指導)
今回設置する消防設備等
・消火設備(消火器)
・警報設備(自動火災報知設備:特定小規施設用自動火災報知設備)
・避難設備(誘導標識)
その他、個別指導があったもの
・宿として使用する部分とそれ以外のところに施錠&パーティションで仕切りをする
・避難経路図を掲示する
・客室、管理人が就寝するところに携帯用電灯を常備する
・管理人が通常勤務する場所には携帯用メガホンを常備する
・カーテン、どん帳、じゅうたん等は防炎物品を使用する
と、いろいろあるのですが。
消防設備は「設備士」という有資格者でないと工事ができないという点に最大の注意が必要です。使う警報機が、一般住宅の火災報知機と異なるものだからです。
ここでどうしても経費がかかります。
予算の目処を建てようと思ったら、ここまでの消防との協議ができて見積もりを取ることが出来ます。
今回は設備士の居る業者さんに見積り依頼をし、消火器3本、火災報知器7箇所、誘導標識2箇所の設置と各申請業務で、26万円ほどかかるということがわかりました。
※手順でいえば4,6の届け出提出は資格がなくても出来るのですが、今回は一部協議と届出書類の提出までを依頼しました。この書類提出は通常設備士さんに依頼することが多いそうなのですが、本当に設置工事だけをお願いすれば費用をもう少し費用を抑えられると思います。ただし、消防の立会検査の時に「ここも追加して」という指摘が入ることもあるらしく、その時にまた設備士さんを呼んだり、再度報告へいったりということがあると必ずしも安くすまないようなので注意が必要。この辺りのリスクもあったので、消防署への確認協議と届け出を依頼することにしたのでした。
この他指導のあったもので、施錠できるドアノブへの変更、防炎のカーテン設置、非常用照明などの準備で8万円ほど。
家具や寝具などまだ揃えるものは色々ありますが、最低限条件クリアのために必要な費用が見えてきました。
旅館営業のハードルが高い理由を実感…(必要最低限のものは10万円くらいあればいいかなとか甘いこと考えてました)
もちろん建物条件により大きく変わりますが、建物工事なしでもこれくらい。
民泊新法で条件緩和があるといいますが、消防法は別途協議という流れが濃厚なので、オールホワイトで開業しようと思うと、まだまだハードルが高そうだなと思うのでした。
民泊のHowto本にも消防設備の金額までは出てこないので、ここまで協議をしたら費用が見えてきます。
次回は設備の設置工事編です
本物件の場合で記載をしています。
建物条件や各地域の条例により大きく異なることがありますので、検討されている方は各地域の管轄消防署等への確認をお願いいたします。