宿開業への道⑦異なる床面積算定
ここまでの旅館業法と建築基準法で床面積の事に触れました。
おさらいすると
・旅館業法(客室の広さ確保:簡易宿所では一人あたり3.3㎡以上)
・建築基準法(用途変更の要否算定:宿として使用する範囲100㎡以内)
なのですが、このふたつが指す「床面積」は異なるものなのです。
注意点①測る位置
建築基準法は柱の中心線を基準に算定するのに対し、旅館業法では部屋の壁内を基準に面積を考えます。
算定方法によって面積が異なってくるので、測る際にもそれぞれの寸法が必要です。
6帖の部屋を例に考えてみます。
今申請をしている住宅は、左側の960㎜ピッチ(約20年前建築)
最近の住宅に多いのは、右側の910㎜ピッチ
※ピッチとは、建築する際に基準とする柱から柱までの基準寸法です。
※2ピッチが畳の長手方向の長さ=一間(いっけん)と考えます。
※今回は105㎜角の柱、石膏ボード12.5㎜、クロス厚0㎜で考えています。
建築時の図面がないとピッチも割り出さないといけないのでちょっと手間が増えますが、2箇所柱が見えていてその間隔からピッチが割り出せると、面積算定がぐっと楽になりますよ。
注意点②客室定員
そしてもう一つ気をつけたいのが、床面積と客室の定員です。
旅館業の簡易宿所で定めているのは一人あたり3.3㎡です。
これを6帖の部屋の場合(2段ベッド無し)で考えると
960㎜ピッチ(左):客室床面積10.20㎡→最大定員3名
910㎜ピッチ(右):客室床面積9.12㎡→最大定員2名
と、定員数が異なります。
「◯帖だから何人」というわけではないので、特に図面がないときなど早めに確認をしておくといいと思います。
部屋の定員数は経営計画にも関わってきますので、注意が必要ですね。
さてさて
ではなぜこの床面積の考え方が2つの法律で違うか、です。
私個人はこのように考えています。
建築基準法の方は、工事の過程で壁を張ったり塗ったりして厚みが変わるので(施工誤差もありますし)、最初に位置出しをしたら位置が変わらない芯を基準に。
旅館業法ではお客さんが泊まる部屋なので実際に使用できる面積がわかるように。
申請する側はややこしいですが、こう考えると異なっている理由も納得できるかなぁと思います。
旅館業を検討されている方がいたら、面積算定気をつけてくださいね。